ロデオ社員、ロデミとパンサーが、パチスロ「モンスターハンター」の発表を記念して、記録的大ヒットゲーム「モンスターハンター」シリーズのプロデューサー、辻本良三さんにインタビュー! ゲーム開発の裏話やプロデューサーのお仕事について、じっくりとお話を伺いました!

■プロフィール
株式会社カプコン 
辻本良三

最新作「モンスターハンター3(トラ イ)G」を含む「モンスターハンター」シリーズのプ ロデュースを担当。


ロデミ


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女子目線からモンハンの秘密に迫る!?
 

パンサー


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■「モンスターハンター」の作り方とは?

ロデミ&パンサー:
よろしくお願いいたします。本日は、お忙しいところお時間頂きましてありがとうございます。

辻本:
よろしくお願いします。

ロデミ:
早速ですが、辻本さんは最新作の『モンスターハンター3(トライ)G』のプロデューサーをされていますが、現在までの反響などはいかがでしたか?

辻本:
はい。おかげさまで『モンスターハンター3(トライ)G』が発売されて4ヶ月近く(2012年3月時点)経ちましたが、ダウンロードクエスト配信も継続しており、今も多くの方にプレイして頂いています。今回は、本当に大ボリュームとなっていますので、最後まで遊び尽くして欲しいですね。

ロデミ:
今回本当にすごい内容になっていますよね。それだけの大作となった「モンスターハンター」シリーズをプロデュースされるにあたって一番苦労されることは何ですか?

辻本:
「モンスターハンター」シリーズとして気を遣っていることは、まず第一に、これまで「モンスターハンター」を育てて頂いた既存のユーザーの皆さんを大切にするということですね。その方々が、シリーズが変わっても長く楽しめるようにすること。シリーズとして変わってはならないことを踏まえて、さらにその上のサプライズを用意することを意識しています。「やっぱり、ユーザーの方には常に驚きとワクワク感を提供したい。」そう思っています。また「モンスターハンター」シリーズはゲームだけでななくイベントなども多く開催しており、ファンの皆さんとの交流も含め、幅広く楽しんでいただけるよう心がけています。

ロデミ:
『モンスターハンター3(トライ)G』はニンテンドー3DSのタイトルでしたが、3D化などで技術的な苦労はありましたか?

辻本:
ゲーム中に関しては、ある程度3DSの内部のシステムで自動的に3D化できる面はあるのですが、オープニングなどのムービーシーンについて3D化することは初の試みだったので開発には苦労しました。ただ、そういった技術的なチャレンジもチームにとっていい経験になったと思います。

ロデミ:
モンスターのコンセプトやデザインはどのような過程で決まるのでしょうか?

辻本:
いろんな決め方がありますね。見た目のデザインから入る場合もありますし、こういう遊びをさせたい!というところからデザインしていくこともあります。例えば、「ジエン・モーラン」っていうモンスターがいるんですけど、これはまず、コンセプトアートとして、「船と併走しながら狩りをする、ものすごく大きいモンスター」という一枚の絵だけがあったんですね。それをチームで「こんなことができたらすごいよね!」という想像をかきたてて、なんとかデザインとゲームに落とし込んでいくという作り方をしました。


また、細かい過程でいいますと、「モンスターハンター」には獣竜種や飛竜種などという、モンスターごとの種別があるのですが、「ブラキディオス」の場合は「獣竜種」にしようというところから決まりました。次に、いままで手を激しく使うモンスターがあまりいなかったので、手を使うモンスターにしようとなったのですが、デザインに関してぱっと見のインパクトに物足りない点があったので、手に緑の色を加え、それに粘菌であるという設定を加えてから、じゃあ、それを使ったゲーム性のアイディアを練ろうとなって、最終的に今のような粘菌を使って攻撃してくるモンスターになりました。

ロデミ:
それは大勢の方で作られるんですか。

辻本:
はい。プログラマーやプランナーも当然いますし、デザイナーの方から提案される場合もあります。それを集約してディレクターが決めていくといった形です。ただし、どんな作り方をしてもいいのですが、ゲームとして面白いモンスターになるかが一番の基準となります。

ロデミ:
難易度の低いモンスターは結構可愛いモンスターもいますよね。強くなっていくと段々見た目も凶暴になってくるというか。

辻本:
そうですね。ただ、そういった難易度によってモンスターの風貌に強弱をつけるだけではなく、そのモンスターの次にでてくる、手強いモンスターの練習役としての役割を持たせることも意識しています。モンスターが出現する順番もある程度決まっているので、ユーザーが序盤のモンスターを狩ることで、自然に次の強力なモンスターとの立ち回りを身につけられるようなことを考えて作っていますね。

ロデミ:
モンスターも種類が多いですが、武器や防具もすごくバリエーションが豊富ですよね。

辻本:
確かに武器などは数が多いので、制作は、モンスターとの関係性など監修する人間を中心に立てて、大勢のスタッフで作っていますね。

ロデミ:
結構、可愛い装備なんかもあって、私の場合、そういった装備をしていたのですが、より手強いモンスターを狩るのに、泣く泣く違う装備に変えたりといったこともありました(笑)

辻本:
武器や防具は、可愛い物や、ゴツゴツした物や、おちゃらけている物もあえて用意しています。やはり、多人数でプレイする場合、みんながかっこいい装備をしても面白くないので、見た目にもいろんな個性を表現できるようにしています。

ロデミ:
かわいいといえば、アイルーが可愛いですよね。

辻本:
実は、アイルーもシリーズをおうごとに、より愛らしくなるように進化してるんですよ。顔とかも初期と比べると最近の方が可愛く仕上がってると思いますよ(笑)
■プロデューサーというお仕事とは?

ロデミ:
カプコンさんといえば、才能ある個性的なクリエイター集団とイメージがありますが、チームにやりたいことを伝えるコツのようなものはありますか?

辻本:
ゲームは、チーム全員で作り上げていくものなので、常にコミュニケーションを取りながら、方向性を共有し、その中で色んなところから面白いアイデアが出てくるような環境を作ることを心がけています。ですので、チームでの飲み会も多いですし、ふらっと席に行って、雑談することも多いです。結構、そんな時にお互いアイデアを出し合えることも多いので、私はとても重要な時間と思っています。

先ほどゲームのアイデアは、誰から出てきても良いと言いましたが、仕事以外の環境の時に出てきても良いというスタンスでもあります。逆にチームの方からプロモーションの案をもらうこともありますよ。そうした、「みんなでゲームの中身を考えて、みんなでそのゲームを伝えることを考える」そんなチームワークを重要視してます。

ロデミ:
プロデューサーとしては、売れる、売れないということも制作上で気にされていますか。

辻本:
当然それは考えています。ただ、ゲーム作りにおいて、売れる売れないということを直接どうするかということよりも、自分たちが面白いと思うものを、なるべく多くの人に楽しんで欲しいということが何よりの目的としてあるので、ユーザーの皆さんに驚きを与えたり、ゲームの魅力をプロモーションも含めて、どうにかして伝える工夫をすることは、イコールとして売れるものを作っていくということにつながると思っています。

ロデミ:
プロデューサーの仕事で一番の喜びはなんでしょうか?

辻本:
「モンスターハンター」シリーズでいえば、まず最初に、「電車に乗っていて周りの人が『モンスターハンター』の話題をするような状況になりたいよね!」ということを、スタッフみんなと話していました。それが、実際にゲームが売れ出して100万本を超えたあたりから、電車や居酒屋で学生やサラリーマンの方々から「モンスターハンター」の話題を耳にするようになり、それが日常の風景として目にするようになったことは嬉しかったですね。

ロデミ:
日々感覚を磨かれる必要があるかと思いますが、日常生活の中でも、自分がプロデューサー目線になっているようなことはありますか?

辻本:
それはありますね。ただ、自分の場合はあらゆることを分析することが好きなんです。

ロデミ:
それは広告とかですか?

辻本:
それもありますが、気になるものすべてについて一旦は答えを出すようにしています。たとえば、子どもが集まっている風景に出会ったとして、「なんだろう?ああ、カードゲームで遊んでいるのか。」という段階で終わるのではなくて、まわりでみている子たちは何でわざわざ見ているんだろう?という理由や行動分析も含めて、自分なりに答えを出すようにしていますね。

ロデミ:
そういった習慣はお仕事に生かされていますか。

辻本:
はい。そもそも広告1つ取ってみても、いざ、作ろうとなったときに、普段何も考えていないと、何も出てこないんですよ。「こんなの面白いと思うんですよ!」っていうのは誰でも言えると思うんですよね。でも「こんなの面白いと思うんですよ。これこれこういう理由で。」というところまで言えるのがプロだと思うんです。

たとえば「作りたいゲームを一言で例えてください」といわれたときに「ジェットコースター的なゲームです」と答えたとしたら、なぜ、ジェットコースターが面白いのかということについて、自分なりの理論を持っていなくては相手に伝えることができないと思います。スピード感がなぜ楽しいのか、回転することがなぜ怖いのか、といったことについて理解した上で、それぞれゲームに反映していくように伝える必要があると思います。なので、ゲーム作りというと、部屋に籠もってずっと作っているイメージがあるかと思いますが、結構、外に出ていることも多いですね。

チームのディレクターと飲みに行ったときに、映画の話になっても「なんとなく面白かった」という答えはお互い絶対にしないですね。間違っていても、とにかく答えを持つということが大事で、それをぶつけることで深まっていくことがあると思っています。
■辻本流ゲーム作りの原点は?

パンサー:
辻本さんはどんな子どもだったんですか?

辻本:
子どもの頃はファミコン世代だったので、よく友達の家でゲームをしていました。田舎で育ったので、虫取りとか釣りもしましたね。また、スポーツも好きで特に野球にずっと熱中していました。

パンサー:
やっぱり、ピッチャーですか?

辻本:
いえ、ショートです(笑) もう、普通の選手でした。ただ野球でも駆け引きや分析をしたりするのは好きでしたね。そういったファミコン時代のみんなで遊ぶ感覚や、スポーツの駆け引きを経験したことが今の仕事にすごく役立っています。

ゲームも一時期、一人で遊ぶようなイメージでしたが、「モンスターハンター」のようにみんなで遊ぶ風景も戻ってきているので、自分が子ども時代楽しかった経験が生きているのかもしれませんね。

パンサー:
ゲームのお仕事を選んだ理由はありますか?

辻本:
そもそも、まず事務仕事をすることが性格的に無理なんですね(笑) ただ、もともと分析したり、みんなを楽しませたりするのが好きだったので、今の仕事はあっていると思います。同じ人に楽しんでもらうようなものを作りたいという部分では、玩具作りにも興味がありました。
■「モンスターハンター」のパチスロ化

パンサー:
今回のパチスロ化についてはどう思われますか。

辻本:
パチスロについては、本当に遊技人口も多いので、さらに大勢の人に「モンスターハンター」にふれて頂く機会が増えると思います。それは、シリーズ全体としても大きな影響があると思いますね。内容としても、マイスロ機能で装備を変えていくなど、「モンスターハンター」らしい遊びも積極的に楽しんで頂ければ嬉しいですね。

パンサー:
パチンコ・パチスロは運の要素が大事なのですが、運についてどう思いますか。

辻本:
運についてはすごく大事にしていますね。私生活でも運が良かった時は「良い運だ!」と思うようにしています。何かいいことがあったときに、「よし、ツイてる!!」と思えることが多かったら、色んなことをプラス思考で考えられますよね。実際は運の良いことと、悪いことが同じくらい人生で起こっていても、良いことだけを覚えていて、「自分の運にかけてみよう」と思えれば、いろんなことに一歩を踏み出すことができます。なので、運の悪いことはどんどん忘れていくというか、もともと、そういう性格なんです(笑)運は信じることから始まるというのが私の信念ですね。

パンサー:
パチスロも負けるつもりで始める人はいませんからね(笑)

辻本:
そうですね(笑) モンハンでも「逆鱗」など貴重な素材がでたら、自分は運が良い人間だと思ってくれればと思います。

パンサー:
最後に「モンスターハンター」シリーズのファンの皆さんに一言お願いします。

辻本:
「モンスターハンターシリーズ」はゲームを軸に今後もさまざまな展開をさせて頂きますので、ゲームをじっくり遊んでいただきつつ、パチスロ含めいろんな「モンスターハンター」の世界を楽しんで頂ければと思います。

ロデミ&パンサー:
ありがとうございました。


<おわり>
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